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いまの私も未来の地球も幸せに⑥“ホリデーごみ”を出さない「ゼロウェイスト」なクリスマスを楽しもう

持続可能な環境・社会・経済を目指すサステナビリティという考え方が世界中で広がっています。このコラムでは、毎日の衣・食・住・遊を幸せにするサステナブルアクションを紹介します。今回は、一年でもっとも煌びやかなクリスマスに世界中で大量のごみが捨てられる問題を取り上げ、「ゼロウェイスト」なクリスマスを楽しむ方法を提案します。

目次

  1. 毎年クリスマスには、世界中で大量のごみが捨てられる
  2. 欧州では、ごみを出さないクリスマスツリーのレンタルサービスが広がっている
  3. 日本でも「ゼロウェイスト」なクリスマスを楽しめる
  4. おわりに

毎年クリスマスには、世界中で大量のごみが捨てられる


街を煌びやかなイルミネーションが彩るホリデーシーズンがやってきました。おうちにクリスマスツリーを飾ったり、大切な人へのギフトを選んだり、友人を招いてパーティを開いたり、幸せを分かち合う季節。コロナ禍を経て、親しい人と一緒にクリスマスを祝うことができる喜びもひとしおですね。

しかし、幸せなホリデーシーズンは、クリスマスの飾りつけやギフトに関連したごみや余った食材が、世界中で捨てられる季節でもあります。

クリスマスと言えばクリスマスツリー。欧州や米国では、本物のクリスマスツリーを飾る風習があります。毎年、多くの家庭が伐採したもみの木などを購入し、華やかな装飾で彩って数週間楽しんだのち捨てるため、クリスマス後に大量のツリーごみが発生します。

例えば、クリスマスツリー発祥の地と言われるドイツでは、都市郊外にクリスマスツリー用のもみの木農園があり、クリスマス前に地元の農園へもみの木を切りに行く風習があります。毎年2,000万本以上のもみの木が家庭を中心に飾られ、クリスマス後に廃棄されます。これらの木は消費用の農産物ですし、木が成長する10年程は二酸化炭素の吸収効果があります。また廃棄後はバイオマス燃料、堆肥、動物の餌などにリサイクルされます。とはいえ、環境意識が高まる中で、10年かけて育てた木を数週間の楽しみのために毎年使い捨てる習慣を見直す動きが出てきています。

一方、日本ではプラスチック製ツリーが主流です。石油由来のプラスチックは製造・運搬にかかる温室効果ガス排出量や廃棄の環境コストが大きく、プラスチック製ツリーを20年間繰り返し使い続けなければ、生木のクリスマスツリーを毎年買うよりも環境負荷が高いと言われています(注1)。また日本では、使い捨てプラスチックによる過剰包装や、売れ残ったクリスマスケーキなど食材の大量廃棄も問題になっています。

こうした背景から、もみの木やギフト包装の使い捨てなどの“ホリデーごみ”を出さない「ゼロウェイスト」なクリスマスを楽しむムーブメントが、欧州を中心に起きています。

欧州では、ごみを出さないクリスマスツリーのレンタルサービスが広がっている


本物のクリスマスツリーが伝統文化と結びつく欧州では、農園で育てたクリスマスツリーを鉢植えでレンタルし、使用後に回収したツリーを再び農園で手入れして翌年も使い続けるサービスが始まっています。レンタルを繰り返して大きくなりすぎた木は植樹され、地域の森づくりにつながります。

例えば、2018年に設立されたロンドンクリスマスツリーレンタルは、数週間のホリデーのために毎年700万本の木が使い捨てられるイギリスの現状を変えるべく、ロンドン近郊で鉢植えのクリスマスツリーをレンタルするサービスです。オンラインショップでツリー・レンタル期間・受け取り拠点を選んで予約購入し、クリスマス後に返却する仕組みで、返却されたツリーは農園で手入れされて翌年のクリスマスに再び出荷されます。

こうしたサービスは、フランスのTreezmas、ドイツのWeihnachtsurwald、オランダのKERSTBOOM.NU、スイスのTraumbaum.chなど、欧州各国で始まっています。本物のクリスマスツリーを楽しむ伝統文化を大切にしながら、ツリーごみ問題を解消し、樹木本来の寿命を尊重して地域の緑の環境を守り育てる、新しい習慣が生まれているのです。

日本でも「ゼロウェイスト」なクリスマスを楽しめる


日本でも、環境にやさしい「ゼロウェイスト」なクリスマスを楽しむことができます。

クリスマスツリーを飾るならば、プラスチック製ツリーではなく本物のツリーを選ぶのはいかがでしょう。また、クリスマスツリーを飾る、おしゃれで長く使い続けられるオーナメントを、毎年1個ずつ集めるのも素敵です。

カーサツリー 天然のもみの木
カーサツリーは、根っこがついたままの本物のもみの木をレンタルするサービスです。オンラインショップでレンタルを申し込むと、ダンボールに梱包したもみの木が自宅に配送され、使用後は同じダンボールに入れて返送する仕組みです。契約農園で育った生きたもみの木は、清々しい香りなど生きた植物のパワーを感じることができ、返却後には再び農園に植樹して育てられます。

IKEA(イケア)本物のもみの木
スウェーデン発のIKEA(イケア)は、本物のもみの木を回収サービス付きで販売しています。店舗で代金(ツリー回収のデポジットを含む)を支払って「ツリー購入証明書」を受け取り、もみの木を選んで持ち帰ります。使用後のツリーと「ツリー購入証明書」を回収期間に店舗へ持ち込むと、デポジットをお買い物クーポンに交換できます。伐採したもみの木ですが、適切にリサイクルすれば、一般的な寿命が5年程と言われるプラスチック製ツリーよりもエコな選択になります。

東京ステーションホテルx more trees チャリティオーナメント
東京ステーションホテルは、森林保全団体more treesとコラボして、2015年から国産ヒノキの間伐材を使ったオリジナルデザインのクリスマスチャリティオーナメントを販売しています。今年は赤いスーツケース型の木製オーナメントが500個限定で販売されます。売上はmore treesに全額寄付され、日本の森づくりに活用されます。

そして、クリスマスギフトは、使い捨てプラスチック包装を使わず、日本の包む文化を伝えるてぬぐいや風呂敷でラッピングしてみませんか。モノではなくて、相手のことを想って選んだ体験型のギフトを贈るのも素敵です。

かまわぬ クリスマスてぬぐい
全国に取扱店のあるてぬぐい専門店「かまわぬ」は、クリスマス柄のてぬぐいを販売したり、ワインボトルや弁当箱の包み方などてぬぐいの使い方を紹介する動画を配信したりしています。おしゃれなてぬぐいでクリスマスギフトを包めば、贈り物を開けた後も、ごみを出すことなく、毎日の暮らしの中で楽しめます。

ソウ・エクスペリエンス 体験ギフト
「体験は、消えない贈り物」をコンセプトに、食事、旅行、アクティビティなど体験型のギフト商品をオンラインショップで販売するソウ・エクスペリエンスは、クリスマスに大切な人と一緒に楽しめるアクティビティなどの体験ギフトを販売しています。大切な人と過ごす特別な体験は、クリスマスのよい思い出になりそうです。

それから、クリスマスパーティの部屋を彩るお花には、お気に入りのインテリアとして長く楽しめるドライフラワーアートを選ぶのはいかがでしょう。

Enpleaf(エンプリーフ)
株式会社テイクアンドギヴ・ニーズが展開するフラワーECサイトEnpleaf(エンプリーフ)は、結婚式のブーケや空間デザインを手がけるフラワーデザイナーによる1点もののドライフラワーアートやキャンドルリースアレンジメントなどを販売しています。好みのドライフラワーアートを選べば、クリスマス後も長く楽しむことができます。

最後に、クリスマスケーキは事前予約をお忘れなく。生産過剰による食材の廃棄を減らすサステナブルアクションになります。

おわりに

そろそろクリスマスの準備を始める時期。今年は、大切な家族や友人、そして地球の未来とも幸せを分かち合う「ゼロウェイスト」なクリスマスを過ごしませんか。

(注1) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000078.000018383.html

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