2014年6月、異動したばかりのウェディングプランナーが結婚式場で顧客ファイルを整理していたときのこと。
2007年3月の日付で結婚式を予定していたお客様の1冊の古いファイルを見つけました。
ウェディングプランナーはなぜ古いファイルが保管されているのだろうと疑問に思いました。
実はこのファイルのお客様はある事情から結婚式を「保留」にしていたのでした。
涙なしには語れたないおふたりの愛の物語があったのです。

交際2年になる尚志さんと麻衣さん。
ふたりは婚約し、2007年3月、挙式を挙げることを決めていました。
まさに幸せの時を過ごしていました。

結婚式会場も決め、準備を始めた矢先、麻衣さんの身に原因不明の病が襲いかかります。
麻衣さんは意識不明状態に。
突然の出来事に戸惑った尚志さんは、式場に連絡し、結婚式を「保留」にしてもらいました。
「キャンセル」ではなく「保留」にしたのには尚志さんの強い想いがありました。
いつの日か麻衣さんと結婚式をするという想いを胸に…
そして結婚式場もおふたりの結婚式挙げる日を待つように大切に顧客ファイルを保管していたのでした。
ここからふたりの、病魔との長い闘いが始まったのです。
麻衣さんは人工呼吸器でかろうじて命をつないでいる状態。
一時は心肺停止になり、命の危険にさらされたこともありました。

いつ目が覚めるとの保証もない、終わりの見えない闘い。
それでも尚志さんは会社に勤めながら看病を続けました。
一年の月日が流れ、それでも意識の戻らない麻衣さん。
ある日、麻衣さんのお母様は今までの感謝の気持ちを伝え…
そして…
「もう別の人探していいから」
と尚志さんに言いました。
しかし、尚志さんはもう一度、麻衣さんの笑顔が見たいと決して諦めません。

そんな尚志さんの想いが通じ、麻衣さんは奇跡的に意識を回復。
なんと、その間6年もの年月が過ぎていたのです。
はじめは意思の疎通さえままならなかった麻衣さんも、徐々に笑顔を見せるなど、
ご家族や尚志さんの想いに応えるかのように目覚ましい回復ぶりを見せます。
こうして、ついに、おふたりにとっても式場スタッフにとっても待望の8年越しの結婚式の日を迎えることに。
挙式前のベールダウンの時、お母様から麻衣さんへの心に響く一言をかけられました。
これまでの様々な思いが溢れ、麻衣さんは涙が止まりませんでした。

辛いリハビリの甲斐あって、親御様に支えながら尚志さんのもとへ、ご自分の足で一歩一歩、バージンロードを歩いていきます。
たくさんの人の笑顔と涙に包まれ、おふたりの結婚式=復活祭は盛大に執り行われました。

尚志さんの、麻衣さんを信じる気持ちがなければ起こらなかった奇跡。
その愛の深さに心が打たれます。
尚志さん、麻衣さん、いつまでもお幸せに。
麻衣さんがご自分の足でバージンロードを歩く瞬間(07:13~)はこちら▼